高層マンションと団地と子どもの居場所

最寄駅に次から次へと立つ高層マンション。

まだ土地があるようで新たに一棟、着工が始まった。

駅に貼ってある広告には、マンションの前に大きな芝生広場があるよアピール。

果たしてこの芝生広場は、住居者以外にも利用できる場所なのだろうか。

一年前に立った隣接する高層マンションにはそう言った敷地がなく、また近隣に公園もないため、引っ越してきたであろう家族持ちの親たちが、マンションに面した道路でシャボン玉や自転車で遊ばせている。

隣接するマンションなのだから、もし、今、着工しているマンションが完成した際には、その子たちも遊べるといいのだけど。

住んでる人のみ、管理費払ってる人のみしか利用できないとなると、それはなんとも窮屈な社会である。


昔、私はマンションに住んでいた。

マンション付近には公園があったのだけど、近くにある団地の中にも小さな公園がいくつもあり、小学生の私にはそのこじんまり感が魅力的で良く遊びに行っていた。

ある日、団地に住むであろうおばあさんに

「ここは団地の子のための公園だよ!」

と強く叱られた。

大きな公園では団地の子もマンションの子も遊んでいるのに、どうしてこの公園だけは団地の子しか遊んじゃうダメなんだろうと納得いかない自分がいた。


それがきっかけで、遊びに行くことはなくなったけれど、子どもが自由にのびのびと遊ぶことができない社会に対して、子どもながらに違和感を感じたのを覚えているし、これからも忘れないと思う。

もしも家族で新居を探しているのであれば、公園や公民館など、子どもの居場所が近くにあるところを探して欲しい。

そして、近くの小学校がどんな状況なのかもリサーチして欲しい。

謳い文句に「◯◯小学校まで徒歩◯m」とか、書いてあるけれど、例えばその高層マンションに引っ越してきた人たちの子どもたちがみなそこの学校に行ったら…キャパオーバーなり、手厚い援助は受けられないだろう。

校舎が足りず、プレハブで学習しているところもあると聞く。

校舎が足りないということは教員も決して潤ってはいないはず。

立てる方は目前の利益だけでなく、周囲にまで視野を広げて欲しいし、住む方も見える情報だけにとらわれないで、さまざまな視点から想像力を豊かにふくらませて、家探しをして欲しい。